北陸大会趣意書

日本学校農業クラブ連盟(FFJ)は,昭和25年に「科学性」「社会性」「指導性」の育成を目標に,農業を学ぶ高校生が交流,研究,発表等の活動を通して,主体的に農業学習を進めるための全国組織として結成されました。以来70年余,錬磨,研鑚を積み重ねながら,農業の優れた担い手の輩出に大きく寄与し,国内外で幅広く活躍できる人材の育成に多大なる貢献をしてまいりました。

毎年秋に開催される全国大会では,農業に関する研究発表,意見交換及び技術競技会が実施され,その成果は確実にクラブ員の知識や技術の向上につながっています。農業は国の礎であり,その態様は時代とともに変遷を遂げようとも,昨今,次代の成長産業として再び脚光を浴びつつある現状を踏まえると,あらためて日本学校農業クラブ連盟が担っている数多の役割に,大きな期待が寄せられていることを実感いたします。

このたび,北信越ブロック連盟でお引き受けした令和4年度開催の「第73回日本学校農業クラブ全国大会」は,石川県(主管)・富山県・福井県の学校農業クラブ連盟が合同でその企画と運営を担当することとなり,その呼称を「令和4年度日本学校農業クラブ北陸大会」といたします。

富山県連盟は,5校約500名とクラブ員は少数ですが,一人ひとりが主体的に運営に取り組み,クラブ員の顔が見える活気ある思い出に残る大会の実現を目指しています。本県は,三方を急峻な山々に囲まれ,天然のいけすと呼ばれる富山湾を抱くように肥沃な平野が広がっており,稲作を中心とした農業が広く営まれています。また,チューリップ球根や種もみの生産量が全国一を誇るとともに,全国トップクラスの水田率,圃場整備率の下,集落営農や法人化等,次代に向けた地域営農体系も進んでいます。

福井県連盟は,3校約700名のクラブ員で構成されています。ここ越前若狭の地は,古来より「御食国みけつくに」と呼ばれ,塩や海産物などの食材を献上した土地です。このことは,万葉集にも記されています。さらに,本県は農学博士石墨慶一郎先生の手による「コシヒカリ」誕生の地でもあります。コシヒカリには,「越の国にひかり輝く」という願いが込められています。その誕生から62年後の2018年,「日本一おいしい誉れ高きお米」となるよう願いを込めて「いちほまれ」が誕生しました。また,勝山市では日本の恐竜化石の80%が産出され,県立恐竜博物館が人気を集めています。わたしたちクラブ員は,農業クラブ活動で磨き上げた真心で全国の皆様をお迎えします。

そして,石川県連盟は全国大会事務局として,4校約500名のクラブ員が全力を注いでおもてなしをいたします。本県は霊峰白山を源とする豊富な地下水が加賀平野を潤し,肥沃な大地に稲作を中心とした農業が盛んに行われています。また,「能登はやさしや土までも」というフレーズで知られる能登半島は,伝統的な農業の手法技術や祭礼,神事等が,現代に失われることなく伝承されていることを国連食糧農業機関(FAO)より高く評価され,国内初の世界農業遺産「能登の里山里海」に認定されています。

このように,北陸三県がひとつとなり,豊かな風土,文化,そして北陸らしい温もりを発信するとともに,お越しいただいたクラブ員の皆さんが相互に交流され,新たな感動に心躍らせ,夢と希望にあふれる大会となりますよう,精一杯努めてまいります。さらに,今大会が新しい時代の農業や環境,地域の文化を創造するクラブ員の心と力を育む場となりますよう,全力で準備を進めてまいります。

つきましては,本大会の趣旨を御理解いただき,関係の皆様の御指導,御支援を賜りますよう,宜しくお願い申し上げます。

令和4年5月

石川県学校農業クラブ連盟会長(石川県立翠星高等学校)武原 伊吹
富山県学校農業クラブ連盟会長(富山県立中央農業高等学校)大村 宇道
福井県学校農業クラブ連盟会長(福井県立福井農林高等学校)梅田 愛美
第73回日本学校農業クラブ全国大会事務局生徒実行委員長吉村 絵里
第73回日本学校農業クラブ全国大会事務局長(石川県立翠星高等学校長)谷  正一